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Mar 30 2006
■9)99・9%は仮説
- 99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方
- 発売元: 光文社
- 価格: ¥ 735
- 発売日: 2006/02/16
物理本を読むようになって好きになった、竹内薫氏の著書。
竹内氏は、物理書を書けるのに小説家という“天は二物を与える”なぁと実感する、右脳も左脳も持った人物。でも、物理学を知れば知るほど、クリエイティブな側面が見えてくるので、そういった意味では物理学が分ることと、小説というクリエイティブな創造は一緒なんだろうなぁ…。
自分がそういう簡単な物理本しか読んでないからかもしれないが、竹内氏の書籍は本当に読みやすいし、分りやすい(いや、分った風にさせてくれやすいというべきか^^;)
物理という強面で難解な学問と、一般ピーポーのパイプ役として素晴しい著書をいくつもお書きになった方だ。
その竹内氏の最新作が、この『99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方』になる。
最近7刷重版となるHitセラーなので店頭で見かけられた方も多いと思う。
今までの作品とちょっと毛色が違い、自己啓発な香りもする哲学書といった感じ。
あー“自己啓発”あー“哲学”と言ってしまったが為に、敬遠されてしまうだろうなぁ。でも、全然感じておられる先入観とは違う、平易な話し言葉の本なのです。
実は言うと、私はちょっと退屈でした。
というのは、書かれている内容が自分には初心者過ぎたというか、逆に言うとそれぐらい簡単な内容だということです。自分が高校生の時に出会いたかった本だなぁ…。というのが正直な感想。文字も大きいですし…。2時間の新幹線本としてはいい量ではないでしょうか。
「なんだよ!ちょいとした自慢かよ!」と思われたら悔しいので、言い訳を書いておこう。
大学はシガない芸術系大学に行っとったKOuですが、高校生が芸大に行くまで&行ってから、まず徹底的に仕込まれるのが、この本にあるような「全ては仮説なんだよ」です。
今も昔も変わりませんが、義務教育っていう奴は、徹底的に全ての事象を定説として教えます。「世界一受けたい授業」(日テレ)で、西郷隆盛の銅像は別人とか、足利なんとかの姿絵は別人とか、学校で教えられた歴史は今では間違いだったとなっている、みたいな話あるじゃないですか。あれに驚きがあるのは「歴史のような権威あるものが、間違うなんてあり得ない」という固定観念を知らぬうちに叩き込まれていた証拠ですよね。
よく考えれば、後日訂正があって当たり前なんですよね、歴史って。分析機器の性能が上がればより正確に情報が判るわけです。その情報を元に偉いと言われている(本当は偉いかどうかわからない)人が、想像したことでしかないんですから。
そういうことを幼少から徹底的にやられた人間が芸大に行った途端、途方にくれるわけですよ。「宇宙の缶詰」は素晴しい作品だ!とか言われて。
日本を代表する芸術家に赤瀬川原平という方がおられます。
赤瀬川氏の作品で「宇宙の缶詰」という作品があります。当時、赤瀬川氏はとにかく何でも包んでしまうという作品を発表していました。(本当は哲学的な思考実験があるんですが割愛)いろんなものを包んで包んで…していた時、ふと思ったそうです。これじゃキリがないと。そこで、全てを包んでしまおうと考えた訳です。
包むという行為を分析すると、包まれた中と外があります。通常、中にあるものが“つつまれた物”になりますよね。だったら、その境界は何だ?と。
その結果が「宇宙の缶詰」なのです。
この作品は、カニ缶のラベルが缶の内側に貼られた作品です。普通の人はラベルが貼ってある側が外で逆が内側と認識しますよね。だから、中身のカニはラベルの無い方にあるので“缶につつまれている”ことになっている。だったら、缶の内側にラベルを貼れば、今まで缶の外側だった空間が缶の内側に逆転する!と言える。
これで、赤瀬川氏は世の全てを缶詰に収めてしまいました。彼からすれば、この世は缶詰の中です。
同様の思考で、その画廊で行われる全ての作品を自分のものにもしてしまいました。通常の個展開催日に終了パーティーを開き、個展終了日に始まりパーティを開く…。
結局一つの事を追求していくと「全ては仮説」だとしか思えなくなってくるんだと思うんですね。美術は“美”を追求していました。でもふっと気がついた。美ってなんやねん?と。昔はおかめが美人顔だったのに、今はどっちかっていうとブスの部類ですよね?そしたら、美というのは絶対的で普遍的なものではなく、相対的なものであると言える。その時、美は仮説になってしまった訳です。この方法論を他のあらゆるモノに当てはめたら…
そういうことを芸大ではやったりやられたりしている訳です。
だもんで、飛行機が飛ぶ理論が判っていないと言われても、知識的興味はあるけど「まぁそうでしょうね」という反応になるし、それこそ、いままでの竹内氏の著書の中ではミミタコなほど登場した、やれ12次元とか、やれ時間が虚数とかhがすdげあsだs・・・ってことです。
こんな話を聞いて面白い!と思う人と、訳わかんねーと思う人といるでしょう。
なので、一番最初のページの問題。
あれが簡単に解けちゃう人は、竹内氏の他の書籍をオススメします。
もし、ぜーんぜん解けなかった人は、絶対読んでみるべき本です。
今ならどこの書店でも、簡単に見かけると思いますから、
まず、最初のページの問題をやってみてくださいな。
きっとアナタの知らない世界が待っているハズです。
□竹内薫オフィシャルサイト
↑ブログに「限界」とか書いてあったが、もの凄く意外でびっくりしました。竹内氏の作品をもっと多くの人が読めば、もっと世界は平和になると思います。
ただし、もっと理屈っぽい世界になると思いますが…^^;
- 東京ミキサー計画―ハイレッド・センター直接行動の記録
- 発売元: 筑摩書房
- 発売日: 1994/12
- 売上ランキング: 159,137
- おすすめ度

- by KOu
- at Mar 30 12:54
- / ■Book > □読了 /
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- trackbacks (0)
■このエントリーに関連するっぽいのは・・・
■14)さおだけ屋はなぜ潰れないのか [ 2006.05.07 ]
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■8)ウェブ進化論 [ 2006.03.10 ]
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■Comments
■竹内薫さま
こちらこそ、わざわざコメントありがとうございます。数回TB送信にエラーしたので、諦めていました。もしかすると、何度も送信されたかもしれません。ご面倒おかけいたします。
「新幹線本」とは気を悪くされていなければ良いのですが…。もちろん悪意はなく、ひとつの生活実感あるカテゴリーネームだと捉えていただければ幸いです。
対象者イメージがはっきりと見える、ご配慮ある言い回しやよく詰められた内容…各所から「新幹線本」としての苦労を感じる事ができました。
私は、本文でも書きましたが、竹内氏の多くある社会的功績点は「難解事象を一般に翻訳するパイプ役」だと思います。
深澤直人氏(デザイナー)は「私は公共で使われるあまりに当たり前のデザインをしたい」と発言されています。それは、自分のデザインが公共で使われ当たり前になれば、それが最低ラインのデザインクオリティーになる。自分がガンバレば、それは日本全体のデザインクオリティーの底上げに繋がる。
この考えはこの「99.9%は仮説」にもあてはまると思いました。その意味でこの新境地開拓は素晴しく、もの凄くワクワクする活動であると感じます。
コメントありがとうございました。今後も書籍とブログの活動(あと絵文字への挑戦!)を楽しみにさせていただきます。まずはお引越しですね^^。
- KOu
- March 31, 2006 06:13 PM
はじめまして。ジョージ・ガモフは「宇宙の裏返し」または「人体裏返しの図」を描いたそうです。
簡単に説明をば。六畳の立方体の部屋(宇宙はこの場合有限)。その中心に立って下さい。片足で。
部屋の壁表面と人体表面すべてを同色で塗りつぶしたら、見える世界が内側になる。まるで、
おたまじゃくしが卵から幼生になる間に、卵表面にできた脊椎原形が内側に陥没、内包されるがごとく。
貴殿紹介、赤瀬川原平氏「宇宙の缶詰」の《カニ缶のラベルが缶の内側に貼られた作品》に相当します。
これは裏表反転。内外反転であります。20世紀の物理学者の視点。特殊相対性原理と同じ発想。
(壁内空間と壁外空間:相対的にある2つの慣性系。)
ところが、物理学者が見逃したものを生物学者でもあるガモフはすでに気付いていたようです。
東晃史(ひがしあきふみ)博士の本からの受け売りなんですが。
カニ缶は錫(すず)かなんかの化合物でできてますよね。抽象的に考えれば厚みを持たない境界が、
内空間と外空間を隔ててるんですが、カニ缶には厚みがある。とすれば、《内空間・中空間・外空間》。
このように見立てをしてもいいんではないでしょうか。これをガモフは描いています。
卵の黄身にあたるところが、内側に陥没、内包された内空間。普段、見えるとこです。眼での風景空間。
卵の白身にあたるところが中空間。中身は内臓。どうやら内空間と中空間は眼球表面でカラザの
捩(ねじ)れをして繋がってるようです。そして、内臓の外?・・・というわけのわからんのが卵殻の外。
東晃史博士によれば、まだガモフの絵には捩(ねじ)れ、2重のかな。スピノールの秘密が描かれてない
そうです。Author: KOu さん。すいません。この場を借りて。
小さい図ですがweb上で見つけたのでリンク。
http://www.kohsho.book-store.jp/note6.htm
※参考図(上)『かたち誕生』杉浦康平 P243より,ジョージ・ガモフ(科学者)が描いた「人体裏返し図」
〔Art of Life; 2005.03.26 日記〕
遺伝暗号 の仕組み:
DNA 配列の 3 つをひとつの単位(コドン)
いわゆる「 コドン」の機能を仮説してもいたガモフ。
追記:杉浦康平と北沢方邦(まさくに)両氏の「日本神話のコスモロジー―常世の潮騒を聴く」いいです。
zion-ad 《 字音 ジオン じおん 》
http://tenchacall.blog52.fc2.com/blog-entry-31.html
- zion-ad
- April 8, 2006 05:46 AM
■zion-adさん
はじめまして、zion-adさん
朝の起きていない頭には刺激的過ぎて全て理解できてないかもしれません。そして、これだけの情報量を伝達する役割には、言語では荷が重過ぎると感じています。私にもっと物理などの知識(=記号論的な用語という言葉に対応する意味)があれば、より的確な会話ができるかもしれませんが、ご期待に添えない低次元なお返事になることをお許しください。
今、最も疑うべき仮説は、言葉という人が便宜上作ったコミュニケーションシステムだと思います。つまり、これは“内”であり、これは“外”であるいうことは、人が会話をする上での便宜上の定義でしかないはずです。しかし、現代では“便宜上”が“絶対的”になっちゃっています。
その誤解を解く役割として「宇宙の缶詰」は大変効果的であったと思います。
実は赤瀬川氏のこの話には、後日談があります。(とてもかっこいい後日談なのです)
この作品を発表した後、「私は全てのものを包んだ。だからこれ以上やることはない」と言って、美術作家活動をやめました。(ごめんなさい、このシリーズをやめた。かもしれません)
彼は大きな役割を残したにも関わらず、これはこうやって使うのだよ!(つまりこの先が大事なんだ!)と教えてくれたように思います。
ガモフのこの図式から何が出発できるのか?思考という実験場がまだまだ活用できそうです。
- KOu
- April 11, 2006 01:53 PM
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TB、ありがとうございます!
「99・9%は仮説」は、これまで書いてきたものとは路線のちがう「新幹線本」への挑戦でしたので、まったく、おっしゃるとおりだと思います。
とはいえ、本作りにかかった時間は、これまで以上かもしれず、いろいろ勉強になりました。
今後は、二種類(小説にも再挑戦で三種類?)の本作りを意識して進めていくつもりです。
宇宙の缶詰めの発想は、とても面白いですね!